月曜日, 8月 12, 2013

風たちぬ



白い坂道が
空まで続いている・・


子供の頃、泳ぎ疲れて家路を辿る時、まず最初に急な坂道を上らなくてはならなかった。

今は改修されて道幅が広くなり、斜度も緩やかになったが、子供目線からは壁のように見える坂、
真夏の日差しにコンクリート打ちの舗装は西日を受けて白く光り、頂点は空へと消えてゆく。

桟橋の左に見える坂道、写真が見切れる辺りに慰霊碑がある


物心つく前だから良く知らないけれど、この道の造成中に崩落事故があり、何人かの尊い命が失われた。
海からの風で陽炎は立たないが、ユーミンの歌とこの景色が自分にとって強い結びついて切り離せない。



夏祭り・お盆・新学期と、

南の島の日差しは変わらなく強いが、そうした節目ごとギヤチェンジするように季節は移り変わり、あっという間に台風シーズンがやってきて海遊びができなくなる。

夏休みの喧噪と、秋風が連れてくる寂寥。

両者のコントラストが激しかっただけに、「風たちぬ」というタイトルだけでグッときてしまう。

メカ好きの性格から、零戦や、その設計者だった堀越二郎について、本を通じて知識は持っていた。

所沢、航空記念公園にて


そうやって知識を得れば得るほど、美しい機体と表裏一体となった悲劇性に目が向く。

敗戦という事実が、まるでなかった様な発展を遂げた我が国。
その華々しさに目が眩んで、反省すべき点がすっぽり抜け落ちている現実。

有能な若者を命を特攻兵器に仕立て上げた愚行は、そのまま現代のブラック企業で消耗し、自ら命を絶つ者に受け継がれている。

有能なパイロットを失った原因として、零戦の貧弱な防御設備が槍玉に上がるが、それ以前に兵士を消耗品と捉え、簡単に補充が効くと考えていた軍上層部にこそ問題がある

そしてそれは全く反省される事無く、現代の日本に受け継がれてしまっている。




一つの事を極めようとする性質や、過ぎたことは水に流してしまう淡泊さと言った日本人の特性が大きいが、過去の教訓を生かせない不甲斐なさに目眩がする。

原爆の碑文に「過ちは二度と起こしません」と刻んで事足れりとするから、二度三度と同じ過ちを起こす。

例を挙げていくとキリが無いから、人材を消耗材と考えている事について、身近な例を挙げよう。

今シーズン、絶対の昇格を期して大幅な補強を行ったエルフェン狭山。
現行メンバーから代表召集が無い中、なでしこジャパンの肩書きを持つ選手が一挙に5人加入した。

零戦という世界最強兵器を手に入れ、「これで勝てる」と確信した旧軍と重なって見える。

みなさんご存じの通り、なでしこの試合は炎天下に行われることが多い。
只でさえ蒸し暑いのに午後1時キックオフなんて事がザラにある。

これもまた、零戦を攻撃・邀撃・迎撃と酷使し、搭乗員の消耗を計算しなかった旧軍の悪癖そのままだ。

こう書くと「スポーツと戦争を一緒にするな」と言う人が必ず出てくるが、旧軍の失敗ばかりじゃなく、軍事一般をタブーにした結果、何度も同じ過ちを繰り返している




常磐木が取りこぼさない限りチャレンジリーグ優勝は無いどころか、一敗も許されない過酷な状況下では、「全ての試合に万全を期す」と言う考えは理解出来る。

とは言え、力の差が歴然とあるチャレンジリーグで、全ての試合にエースを投入する必要が有るだろうか?

なでしこリーグでも通用した得点力。
チャレンジの下位にとって驚異だろう。

問題は開幕戦のように相手に先制を許してしまった場合。
追いつこうと気が焦り、雑な攻めから失点を重ねてしまうパターン。

実力上位のチームが度々嵌まる悪夢だ。

浮き足だった時こそベテラン勢の落ち着きがチームを救う。

交代が5人まで許されるチャレンジリーグ。
実力が落ちる相手に対しては若手主体のチーム編成でガンガン飛ばして、万が一相手に主導権を渡してしまった場合、ベテランに修正してもらう。

そんな贅沢な試合運び出来たはず・・・

実力下位のチームに若手をぶつけるチャンスをみすみす潰し、これからは一瞬の気も抜けない強敵を相手にしなければならない。

零戦に固執するあまり、相手に研究の時間を与えてじり貧に陥った旧軍と、代表選手を酷使する松田エルフェンが「似ている」と、言ったら言い過ぎだろうか。

世代交代で代表に呼ばれなくなったとはいえ、再召集が掛かってもおかしくない元代表達。

大体、あのレベルに到達出来る逸材など、そう居るわけがない。
謂わば日本の宝を酷使し、すり減らしてしまって良いものだろうか?

難敵ばかりの終盤に掛け、彼女等スター選手の力が必要なのは当然だが、
かと言ってあまりに依存し過ぎると、反則の累積や故障で出場停止になる可能性もある。

そんな時、チームに冷たい”風たちぬ”って事にならないよう、チーム全体の底上げが必要なのは言うまでもない。




見てきたw


(蛇足)
ラブロマンスもドキュメンタリーもファンタジーもと欲張った結果、盛り上がりのない映画。
レンタルビデオにすれば良かったと腹立ちぬ・・

でも、監督:宮崎駿 で、みんなに見に行く。
エルフェンも 監督:松田岳夫 で、みんな来るんだろうか・・・・・・・・

3 件のコメント:

  1. ぴよたろう12:33 午前

    またまた遊びにきました!

    炎天下の13時スタートの試合について、しょうこパパさんのご意見に大賛成です。

    10年前、20年前と今とでは気象条件が全く違うのは明らかであり、「用事がなければ夏場日中外出を控える」のが昨今の生活事情、サッカーだけでなく、当方は高校野球の日程にも疑問を感じます。(ちなみに今時の中高校生、グランド使用をする部活動はどんな時間帯で練習をしているのでしょうか、当方の単純な疑問です)

    とはいえ、ともすれば夜間も30度を下回らない日々、エルフェンの皆さんもこの時期の練習は炎天下は避けられたとしても、なかなか大変でしょうね。

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  2. ぴよたろう2:13 午後

    もうひとつ、選手起用についてもです。

    >実力下位のチームに若手をぶつけるチャンスをみすみす潰し
    このコメントを読んだとき、コンフェデレーションのスペイン×タヒチ戦を思い出しました。
    漠然とテレビ観戦をしていた当方でしたが、スペインがこの試合で選手23名(でしたかね?)全員出場を果たした、監督のマネージメントが光る云々と解説者が絶賛していたことが耳に残ります。

    チャレンジリーグの順位表を見ると実力が3層位に分かれているように感じます。
    運営事情あるいは試行錯誤の最中ということもあるかもしれませんが、明らかに実力差のあるチームが同じリーグで、関東九州間などの遠征(ほとんどがプロでない選手を抱えるチームあるいは選手の負担も相当でしょう)をしながらの対戦が果たして適切なのかも当方は単純に疑問に思ってしまいますが。

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  3. またまた、ほったらかしで申し訳ありません。

    Jリーグで問題になっている2ステージ制やポストシーズン制。
    あるいは
    ベストメンバー規制など様々な問題がすでに女子リーグにも表れていると思います。

    ぴよたろうさんのコメントを元に展開したいと思っていますが、なにぶん文章能力に欠けるモノで中々上手くまとまりません。

    折角良い話題提供になっているのでもう少し熟成させ、コメントに対する返事ではなくエントリにしたいと思います。
    ノルマを課さないとズルズル行ってしまうので、今週中に書き込みますので、しばらくお待ち下さい。

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