2015なでしこリーグ第4節
アウェイ、仙台ベガルタレディース戦は石巻フットボール場での開催。
仙台辺りまで来ると狭山では散った桜が、満開の花びらに朝日を受けて美しい。
季節は春だが、休憩に寄ったパーキングエリアで車から降りると、寒さがまだ冬の名残を教えてくれる。
冬と春の斑模様は試合中にも及び、暖かな春の日差しに恵まれたかと思ったら、思わず震える冷たい風が吹いたりして落ち着かない。
ゲームが始まってまもなく、ベガルタ一気の寄せに先制点を献上してしまうと、早い時間帯に追加点を許してしまい相手に主導権を握られてしまった。
相変わらず好調の薊を起点に攻撃を組み立てて行くが、2点の重みは相手に余裕を与え、どうしても最後を突破する事が出来ない。
なんとか前半の失点を2でくい止め、後半の巻き返しに期待が高まったが、ゲームを決める3点目はベガルタに渡って万事休す、痛い4連敗となってしまった。
よく「勝利は選手の頑張り、負けは監督の采配ミス」と言うが、今回の負けは監督の賭が裏目に出た様に見えた。
前節浦和戦で4失点したとは言え、セットプレーからの失点はキーパーだけの責任ではない。
再三に渡る好セーブを見せていた船田を下げ、桜木の先発は意外だった。
キャッチしたかに見えた2点目がゴールを揺らすなど、「アレが船田だったら」と思うシーンが幾つか見受けられた。
そうは言っても、代表監督歴を持つ吉田監督。
空中での競り合いになると踏んで、上背のある桜木を起用したように思えるし、もっと深くチーム事情を考えた上での選択なのかも知れない。
固定したメンバーをピクリとも変更しなかった前任者と、対比をなしていて面白い。
結果的に桜木の高身長は武器として機能しなかったが、長い足から繰り出されるパントキックは飛距離もあるし、ゴールを塞ぐ大きさは相手に無言の圧力を掛けられる。
「いつ先発起用されるか分からない」と言うストレスは、船田にも桜木にも、練習から手抜きを許さないメッセージとも取れる。
4試合で1点と、得点不足は深刻だが、先発で使った杉原は運動量もあって成長が楽しみな1人。
今まで途中投入だったが、先発で使われるとリズムを掴みやすいタイプなのかも知れない。
薊と秋田谷のコンビネーションプレイに顔を出して、一角を担えるようになれば、薫子移籍でポッカリ空いた応援団の気持ちを埋めることが出来るだろう。
若くてスタミナがある彼女等が、相手守備陣の裏を狙うシーンが増えて、これまでの試合より得点への期待が高まってる。
若い選手ばかりの新生エルフェン。
開幕から連続で見ていると、日々ギアが噛み合って来てることを実感する。
今回はギヤチェンジをミスった様に見えるが、更なる加速へのギアダウンだと思いたい。
次節はいよいよ因縁のINAC戦。
自国の代表戦に呼ばれてなけりゃ、そろそろサラが決めてくれそうだし、中盤の選手達がトライしてきたミドルシュートも良い雰囲気になって来た。
名前や実績じゃ勝てないが、若さとスタミナじゃこちらの方が上。
くたびれ気味のお姉さん達を振り回すことが出来れば、勝機は必ずある。
今までやって来た事、今やってる事を怯むことなく発揮して欲しい。
石巻では相手セットプレーに高野が一人センターサークル付近に陣取って相手センターバックの上がりを邪魔してくれてた。
鈴木薫子を思い出させるファイティングスピリッツ旺盛な高野。
一見サボっている様なポジショニングは性に合わないだろうが、そこをよく我慢していたと思う。
ボールを持ったらうるさい選手があの位置に居てくれれば、クリアボールをマイボールにしたり、カウンターに繋げたり出来る。
去年までセットプレーからの失点が多かったのは、クリアが相手に渡って波状攻撃を受けてたからに違いない。
INAC戦では薊がその位置に居て欲しい。
薊にはマークに3人必要になるだろうから、ゴール前の人が減って守りやすく、奪えばチャンスが広がる。
でも、責任感の強い彼女の事だからどうしてもゴール前に戻りそうだ。
やっぱりその役目は高野かサラだな。
指揮官がブレることなく突き進んでいけば、それに応えられる選手ばかりに見える新生エルフェン。
石巻では負けたとは言え、自陣セットプレーの守備は改善され、前線では相手DFラインの裏を狙う動きが活発になって来た。
恐れるモノも失う物もないINAC戦。
日曜日が待ち遠しい。
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